今年も大好きな季節がやってきた。お気に入りのシャツを着て、カギと財布と携帯だけ持ってそとに出る。昨日のじっとりした空気はなかったみたいに、気持ちいい風と一緒に歩き出す。
この季節が好きな理由はたくさんあるけど、主な理由は、街の色が一番好きな組み合わせになるということと、何よりアイスコーヒーが一段と美味しく感じることだと思う。それと、やがてくる本格的な夏に挑戦的な気持ちになることもあるだろう。
普段は、探しても探しても、全然見つからない場所に、ふと行ける時がある。
それは明日の光を探っても探っても見えないから、引き返してとぼとぼあるいていると偶然見つけたセーフエリアみたいなもの。
カラン♪…
ドアを開けると、渇いたベルの音の後にさざなみの音が聞こえる。
四角い星が瞬いていて、風はほとんどない。
遠くの水平線は透き通っていて、水辺には幾何学的なテスクチャーがかかっている。
…
そこには、誰もいない。
でも、誰かに会えるような気がする場所。
思い出した。
その場所は、てっきり僕が勝手に作り出した妄想の世界だと思ってたけれど、実は幼い時に何度も訪れていた場所だった。
カラン♪……
ザーーー………… … …
当時も、その扉を開くと合成音声のベルの音が鳴って、少しすると波の音が聞こえた。
ヤシの木は固まっていて、なぜか錆びた潜水艦が気持ちよさそうに浅瀬に浸かっている。
自分の足音は聞こえず、周りを見渡しても誰もいない。
でも、かすかに、ふとした瞬間に誰かに会えるような気がする。
明るい未来を追いかけて
足りない嫌いで愛想笑い
怖さと不安の砂糖を食べて
腐った体に気づかない
大事に抱いてたそのなにか
失い気がつく自分のエゴ
いつかえがいてた自分のメモ
日が暮れ静かな夜が来る
…
一人で彷徨う星空に
綺麗とささやく夜の海
黒くて見えないその瞳
生きてる理由を探してる
…
ある日僕は、君と出会った
俯いて歩き続ける僕に、
上を向いて大きく手を振って歩いていくことの大切さを教えてくれた
下を見ないとちゃんと歩けないという僕に
へたくそでも、がむしゃらでも君らしいのが一番と言って、僕の隣で一緒に歩いてくれた
あなたが教えてくれたことが、世界に広がって
冷めたこの世に笑顔が溢れるように
僕も誰かの隣で、一緒に大きく手を振って歩けたらいいと思う