普段は、探しても探しても、全然見つからない場所に、ふと行ける時がある。
それは明日の光を探っても探っても見えないから、引き返してとぼとぼあるいていると偶然見つけたセーフエリアみたいなもの。
カラン♪…
ドアを開けると、渇いたベルの音の後にさざなみの音が聞こえる。
四角い星が瞬いていて、風はほとんどない。
遠くの水平線は透き通っていて、水辺には幾何学的なテスクチャーがかかっている。
…
そこには、誰もいない。
でも、誰かに会えるような気がする場所。
思い出した。
その場所は、てっきり僕が勝手に作り出した妄想の世界だと思ってたけれど、実は幼い時に何度も訪れていた場所だった。
カラン♪……
ザーーー………… … …
当時も、その扉を開くと合成音声のベルの音が鳴って、少しすると波の音が聞こえた。
ヤシの木は固まっていて、なぜか錆びた潜水艦が気持ちよさそうに浅瀬に浸かっている。
自分の足音は聞こえず、周りを見渡しても誰もいない。
でも、かすかに、ふとした瞬間に誰かに会えるような気がする。
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